マジックナンバーで1つの口座の戦略を分ける方法(2026年版)
🎯 合計だけでは答えられない問い
1つのMT5口座で、3つのEA(エキスパートアドバイザー)を動かしているとします。1年を終えて成績は+18%。では、その利益を出したのはどのEAでしょうか。
エクイティカーブを見てもわかりません。プロフィットファクターも、ドローダウンも、勝率も同じです。どれも、すべての取引をひとまとめにした流れから計算されているからです。戦略は3つでも、残高は1つ、線も1本。週に$200ずつじわじわ負けているグリッドEAは、好調な四半期を迎えたトレンドフォローの陰に隠れてしまいます。その四半期が終わるまでは。
このひとまとめをくぐり抜けて残る項目が、MetaTraderには1つだけあります。マジックナンバーです。ShowMyTradesが考え出した分析機能ではありません。EAが送るすべての注文に刻み込む整数で、ターミナルは取引が続く間ずっとこの値を保持します。きちんと設定してあれば、履歴は最初から分かれています。設定していなければ、あとからどれだけ分析しても分けられません。
🔢 マジックナンバーの正体
マジックナンバーとは、注文を送るコードが書き込む整数です。MT4では注文を送る関数の引数の1つ、MT5では取引リクエストの項目の1つで、その結果できたポジションと約定に引き継がれます。ブローカーが割り当てるものではなく、プラットフォームが値をチェックすることもありません。重複していないかを確かめる仕組みも、どこにもありません。
ここから3つのことが言えます。
手動の取引には0が入る。どの内訳にも裁量の行があり、その行だけ名前を変えられないのはこのためです。
初期値のままのEAは見えなくなる。マジックナンバーの入力値が0のまま配布されているEAは少なくありません。その取引は手動でクリックした取引と同じ受け皿に入り、いつまでたっても見分けがつきません。
番号は注文の時点で一度だけ書き込まれる。あとから埋めることはできません。マジックナンバー0で送った1年分の履歴は、その後に何をしても区別のつかない1つの塊のままです。ここで最も高くつく失敗で、直せるのはこれから先の取引だけです。
ほかのプラットフォームでは、同じ考え方を別の項目で表しています。
| プラットフォーム | 戦略のタグを持つ項目 | 手動の注文 |
|---|---|---|
| MT4 | 各注文のマジックナンバー(EAが設定) | 0 |
| MT5 | リクエスト、ポジション、約定のマジックナンバー | 0 |
| cTrader | cBotが書き込むラベル(マジックナンバーの項目はない) | ラベルなし |
| TradeLocker | 注文に付く数値の戦略ID(マジックナンバーとして読み取る) | 戦略IDなし |
実際には、戦略ごとの内訳はMT4とMT5の機能です。cTraderの口座ではマジックナンバーの項目が空のまま届くため、すべての取引が裁量の行に入り、表は1行にまとまってしまいます。それでも、ここではほとんどの人が対象になります。ShowMyTradesに連携している1万以上の口座の圧倒的多数はMT4とMT5で、残りがcTraderとTradeLockerです(2026年8月時点)。
🏷️ 55566を「Grid EURUSD」に
生のマジックナンバーは正確ですが、読めません。55566がEURUSDのレンジ系システムだったことなど、半年後の自分も含めて誰も覚えていません。
ShowMyTradesでは、その場で名前を変えられます。ダッシュボードで項目別統計モジュール(口座設定では通貨ペア別統計と表示)までスクロールし、マジックナンバー別タブに切り替えます。このタブは、内訳を出せる決済済み取引が口座にできた時点で表示されます。どの行でもEA/戦略のセルをクリックし、ラベルを入力してEnterキーを押せば完了です。
ラベルは最大50文字で、口座に保存されます。そのため、ダッシュボードにも、公開ページにも、カスタム分析のフィルターにも表示されます。ポートフォリオには、これとは別のラベルが保存されます。
名前を付け始める前に、知っておきたい動きが2つあります。
- 同じラベルを付けた行は1つにまとまる。2つのマジックナンバーに同じ名前を付けると1行に統合され、取引数、損益、勝ち・負けの件数は合計され、割合は計算し直されます。銘柄ごとに別のマジックナンバーを使うEAには、この方法が使えます。すべてに「Breakout Basket」と名前を付ければ、まとめて1つの戦略として読めます。
- グループ解除のボタンで元に戻せる。統合した行には「マジックナンバーのグループを解除」のボタンが付き、「名前」「名前 2」「名前 3」として行が復元されます。統合は一方通行ではありません。
マジックナンバー0の行は裁量と表示され、あえて編集できないようにしています。これは戦略ではなく、タグなしで届いたすべての取引だからです。
表は6列です。EA/戦略、マジックナンバー(統合した行では複数の番号)、取引数、損益、そして割合つきの勝ち・負け。読み方に関わる点が2つあります。
損益はネット。各取引は、損益に手数料とスワップを加えた額で行に入ります。取引回数の多いマジックナンバーは、総損益では問題なさそうに見えても、ここではマイナスになっていることがあります。正直な数字はそのマイナスのほうです。ShowMyTradesで公開されている口座は、これまでに手数料$4,782,670、スワップ$862,547を支払っています。コストの重さは戦略によって大きく違い、それが表れるのがこの列です。
マジックナンバー別の表に出るのは最初の棒ではなく、最後の棒です。取引の多い戦略が総損益では健全に見えても、実はマイナスになっているのはこのためです。
入金と出金は含まれない。内訳に入るのは買いと売りだけなので、資金の出し入れで行の数字が膨らむことはありません。
行は取引数の多い順に並びます。見やすいだけで、意味はありません。最も取引の多い戦略が、口座を支えている戦略ではないことはよくあります。
付けたラベルは訪問者にも見えます。公開ページでは、EA/戦略の列に「Grid EURUSD」、その隣の列に55566が表示されます。このモジュールをページからまるごと外したいときは、口座設定で通貨ペア別統計をオフにします。取引口座ダッシュボードの見方で紹介しているほかのセクションと同じ操作です。
🕵️ 口座を支えている戦略を見つける
まず損益の列を上から下まで読み、それから3つの点を確認します。
1. 集中度。1つのマジックナンバーが純利益の大半を出しているなら、その運用実績はその戦略の記録に、ノイズが少し混ざったものです。ほかの行は分散ではなく、飾りにすぎません。これが一番効いてくるのは、誰かに評価されるときです。宣伝されるトレード成績を検証する完全ガイドで扱っているのは、まさにその場面です。
2. プラスの合計の中にあるマイナスの行。負けている戦略は、自分から名乗り出てはくれません。勝っている戦略の成績を、少しだけ悪く見せるだけです。
3. 勝率と損益。マイナスの行で勝率が高いのは、勝ちトレードを早めに決済して負けトレードを持ち続けるシステムに典型的な特徴です。ShowMyTradesで取引履歴のある公開口座の勝率の中央値は68.8%。ごく普通の値で、何かの証拠にはなりません。
10回中7回をプラスで決済するのは、母集団ではごく普通のことです。勝率が情報になるのは、隣の損益の列と一緒に読んだときだけです。
仕組みを示すために選んだ切りのいい数字で計算してみます。実在の口座のデータではありません。
| ラベル | マジック | 取引数 | 純利益 | 勝ち |
|---|---|---|---|---|
| Range EURUSD | 11001 | 620 | +$8,400 | 74% |
| Breakout GBP | 11002 | 180 | +$1,900 | 41% |
| Grid Gold | 11003 | 940 | −$3,100 | 89% |
| 裁量 | 0 | 24 | +$300 | 50% |
| 合計 | 1,764 | +$7,500 |
口座は$7,500のプラスで、主要な指標はどれも緑色です。ところが、いちばん取引が多く、ページで最も勝率の高い行だけが損を出しています。その940件だけで、ShowMyTradesの公開口座の決済済み取引数の中央値171件の5倍を超えます。取引一覧を埋め尽くし、勝率を押し上げ、平均保有時間を決め、そして結果を削っているのがこの行です。
この戦略を止めれば、口座の利益は$7,500ではなく$10,600になります。合計を見ても、チャートを見ても、これはわかりません。分けて見て初めてわかります。
いちばん良さそうに見える行のロット数を増やす前に、1つの戦略ではなく口座全体のリスクを見積もってください。ロット計算ツールとドローダウン計算ツールなら1分で計算でき、それぞれの前提はFX計算ツールのガイドで解説しています。
🤖 リアル口座はどれだけ自動化されているか
取引を自動売買として数えるかどうかも、同じ項目で決まります。0以外のマジックナンバーが付いた取引、またはマジックナンバーの代わりに戦略ラベルを使うプラットフォームではラベル付きの取引が、自動売買の取引です。
2026年8月にShowMyTradesの公開口座で計測した結果は、次のとおりです。
| 自動化の度合い | 口座の割合 |
|---|---|
| 90%超が自動売買 | 53.9% |
| 10%未満が自動売買 | 42.2% |
| 自動売買の割合の中央値 | 99% |
釣鐘型の分布ではなく、両極に分かれています。ここで公開されている口座は、ほぼすべてをソフトウェアが動かしているか、ほぼすべてを手で動かしているかのどちらかで、その中間はごくわずかです。これはShowMyTrades上の口座の傾向であって、トレーダー全般の話ではありません。
注意点もあります。この計測は項目の値に頼っているため、マジックナンバーを0のままにしたEAは裁量取引として集計されます。自動売買の割合が0%と表示されているのに、ロボットが取引しているとわかっているなら、理由はこれです。EAの入力値でマジックナンバーを設定し、EAを再起動してください。
🔍 ページ全体を1つの戦略に絞り込む
内訳を見れば、どのマジックナンバーがあり、それぞれがいくら稼いだかがわかります。そのうち1つについて統計をすべて見たいときは、カスタム分析を開きます。
そこでは、マジックナンバーがチップとして並びます。ラベルを付けた番号は「Grid EURUSD - 55566」、付けていない番号は数字だけ、タグなしの受け皿は「裁量 (0)」です。1つまたは複数を選んで「分析」を押すと、ページ全体がその取引だけで計算し直されます。主要指標、エクイティとTWRのチャート、月次リターン、詳細統計、取引一覧のすべてです。マジックナンバーとサーバー時間の時間帯を組み合わせれば、ある戦略が特定のセッションでしか利益を出していないかどうかもわかります。
知っておきたいことが2つあります。1つ目は、公開ページの訪問者にも同じパネルが表示されるので、誰でも所有者に尋ねずに戦略を切り分けられます。これは意図的なものです。切り分けて確かめられる記録のほうが、信じてもらうしかない記録より強い。認証済みと未認証の運用実績の違いで述べている考え方です。2つ目は、保存したプリセットの1つを訪問者向けに自動で適用するよう設定すると、ページにはそのプリセット名を示すバナー(「所有者が適用した分析プリセット」)が表示され、訪問者は誰でも解除できます。公開ページの表示が、知らないうちに絞り込まれていることはありません。
取引一覧では、列のメニューを開いてマジックナンバーを有効にすると、行ごとにタグが表示されます。その隣にはコメントの列があり、EA自身が書き込んだメモが入っていることもよくあります。ただし、所有者がプライバシー設定でコメントを非表示にしている場合は表示されません。
🚧 あえてしないこと
マジックナンバーの背後にある市販のEAが何かを推測することは、これまでもしていませんし、今後もしません。ShowMyTradesにはロボットごとのページも、EA別のランキングも、あるマジックナンバーが製品Xのものだと主張する集計もありません。付けたラベルはその口座を説明するもので、その口座の中にとどまります。ほかの口座のラベルとまとめたり、広めたり、照らし合わせたりすることはありません。
理由は、倫理より先に技術にあります。同じEAでも、インストールした口座ごとに違うマジックナンバーで動きます。別々のEAが同じ切りのいい数字でぶつかることもしょっちゅうで、12345は誰のものでもありません。ラベルは、所有者がそれぞれの流儀で書く自由なテキストです。そんな寄せ集めから導いた結論は、事実のふりをした推測にすぎません。推測を公開する運用実績のプラットフォームは、もはや運用実績のプラットフォームではありません。
マジックナンバーは口座の所有者が管理するタグであって、ソフトウェアの識別子ではありません。ShowMyTradesはこの2つを分けて扱います。
⚠️ よくある5つの失敗
- すべてを初期値のままにする。2つのEAがどちらもマジックナンバー0で配布されていれば、データの上では永久に1つのEAです。番号は必要になってからではなく、必要になる前に割り当ててください。
- 分け方を決めるのが遅すぎる。最初に決めておきます。EAごとに1つのマジックナンバーにするのが最も簡単で、通貨ペアを個別にやめる可能性があるなら、EAと銘柄の組み合わせごとに1つにします。あとからラベルで行をまとめることはできても、ターミナルが1つとして記録したものを分けることはできません。
- 行の順番を重要度と読み違える。表は取引数の順に並んでいます。重要なのは、プラスでもマイナスでも、損益の絶対値が最も大きい行です。
- 勝率で戦略を判断する。必ず損益の列と一緒に見てください。マイナスの行で勝率90%というのは、システムが設計どおりに動き、それでも損を出しているということです。
- 口座をまたいで金額の損益を比べる。$200,000の口座で稼いだ$8,000と、$5,000の口座で稼いだ$8,000は、同じ戦略とは言えません。1つの口座の中なら金額でかまいませんが、口座をまたぐならパーセンテージを使ってください。理由はトレード成績を記録・分析する完全ガイドで説明しています。
❓ よくある質問
過去の取引にマジックナンバーを付けられますか?
いいえ。番号は注文を送るときにEAが書き込み、取引と一緒に保存されます。古い取引は、0も含めて付いていた番号のままです。今設定すれば、今日から先の取引はすべて分けられます。
どんな番号を選べばよいですか?
その口座で重複しない整数なら何でもかまいません。うまくいく決め方の一例は、戦略ごとの固定の頭の数字に、銘柄ごとの末尾を付ける方法です。たとえば1つのシステムを3つの通貨ペアで動かすなら、11001、11002、11003とします。一覧は書き留めておいてください。口座ページのラベルがちょうどよい置き場所です。
ラベルは公開ページに表示されますか?
はい。マジックナンバー別タブで、番号の隣に表示されます。公開したくなければ、口座設定で通貨ペア別統計のセクションをオフにしてください。ページのほかの部分には影響しません。
自動売買の口座なのに、裁量取引が記録されるのはなぜですか?
マジックナンバー0で届いた取引があるからです。マジックナンバーの入力値を初期値のままにしたEA、手で建てたり決済したりしたポジション、注文にタグを付けないコピー元から複製された取引などが考えられます。
cTraderやTradeLockerでも使えますか?
cTraderには、マジックナンバーの項目そのものがありません。自動売買かどうかの判定にはcBotのラベルを読み取りますが、戦略ごとの内訳はMT4とMT5の領分で、cTraderの取引はすべて裁量の行に入ります。TradeLockerの注文には戦略IDが付いていて、数値のIDはマジックナンバーとして読み取るため、内訳が分かれます。
2つの口座でラベルを共有できますか?
いいえ。ラベルは口座ごとに保存され、ポートフォリオにもそれぞれ別のラベルがあります。同じEAを2つの口座で動かしているなら、名前は2回付ける必要があります。2つのインストールが別々の番号を使うのは正当なことなので、これで正しい動きです。
🔗 関連ガイド
- 取引口座ダッシュボードの見方:公開口座ページのすべてのモジュールと指標
- トレード成績を記録・分析する完全ガイド:長期的に見るべき数字
- 宣伝されるトレード成績を検証する完全ガイド:誰かの実績を信じる前のチェックリスト
- 取引口座を認証する方法:自分のデータをブローカーに裏付けてもらう
実際の口座で確かめる。「公開口座を探す」ページに並ぶ口座は、どれもブローカーのデータと同期しています。1つの残高で複数の戦略を動かしている口座も多く、タブを開けば誰でも内訳を見られます。
無料で口座を連携して、マジックナンバーに一度ラベルを付けておけば、どの戦略がほかの戦略の分まで稼いでいるのか、もう推測する必要はありません。