指標·用語集

トレードにおける標準偏差とは?計算式とデータ

標準偏差は、1回の取引の結果が平均的な取引からどれだけ離れるかを表します。コスト差し引き後で計算するShowMyTradesの計算式と、数千の口座での読み方を解説します。

標準偏差とは、1回の取引の結果が、その口座の平均的な取引結果からふだんどのくらい離れているかを示す数字です。ShowMyTradesでは口座通貨で表示するので、「この口座では、1回の取引がいつもの取引とどのくらい違う結果になるのか」という問いにそのまま答えてくれます。数字が小さければ結果はまとまっていて、大きければ履歴が外れ値でできていることになります。

仕組み

標準偏差 = √( Σ (rᵢ − mean)² / n )

ここでrᵢは決済済み取引iの純損益、meanはその平均、nは決済済み取引の数です。数字の意味を決める細かな点が4つあります。

  • 各取引はコスト差し引き後で計算します。rᵢは利益+手数料+スワップなので、手数料やスワップの重い取引は、利益を減らすのとちょうど同じだけ、ばらつきを広げます。
  • 数えるのは決済済みの買いと売りの取引だけです。入金と出金は系列を作る前に除外するので、口座への入金が巨大な外れ値になることはありません。
  • 母集団の式を使います。n − 1ではなくnで割ります。決済済み取引が2件未満のときは0.00と表示されます。
  • 単位はパーセントではなく通貨です。同じ$50の標準偏差でも、$2,000の口座と$200,000の口座では、示している取引の姿がまったく違います。必ず口座残高と並べて読んでください。

平均する前に距離を2乗するので、例外的な取引が1件あるだけで、ふつうの取引が十数件あるよりも大きく数字が動きます。だからこそ、ほかと毛色の違う取引をはっきり捉えます。

なぜ重要か

標準偏差は、「安定している」という言葉を正直に確かめる物差しです。エクイティカーブを安定していると言うだけなら誰にでもできますが、この指標は、取引がどれだけ安定していたかを金額で示します。

ShowMyTradesのシャープレシオの分母でもあります。シャープレシオは、平均的な取引をこの数字の何倍かで表したものです。また、期待値と組み合わせて読むのが自然です。期待値は1回の取引あたりの平均的な結果を示しますが、その平均がどれだけ確実に得られるかは教えてくれません。

いちばん役に立つのは、数行先にある2つの平均と比べる読み方です。

  • 平均利益に近い:結果がまとまっています。この口座はたいてい同じように動きます。
  • 平均利益の数倍:ほんの数件の取引が履歴を支えています。合計を信じる前に、最大勝ちトレード(損益)と最大負けトレード(損益)を確認してください。
  • 平均損失よりはるかに大きい:少なくとも1件の損失が、いつもの範囲から大きく外れています。

実データから見えること

以下の数字は、トレーダー全般ではなく、ShowMyTradesで公開されている口座のものです。取引履歴のある公開口座全体(2026年8月時点)で、シャープレシオの中央値は0.05、決済済み取引数の中央値は171件です。

ShowMyTradesの定義を逆にたどると、この組み合わせからばらつきについて正確なことがわかります。シャープレシオは平均的な取引をこの標準偏差で割ったものなので、中央値0.05とは、中央値にあたる口座では平均的な取引の価値が、取引の標準偏差のおよそ20分の1しかないということです。取引ごとのふだんのばらつきは、そこから得られる優位性のおよそ20倍あります。

平均保有時間の中央値は2.4時間です。だから、1日分の結果を見てもトレーダーは何も学べません。1日はばらつきの範囲にすっぽり収まってしまいます。運用を始めたばかりの口座で数字が低くても、うまくコントロールできている証拠にならないのも同じ理由です。その戦略が生み出しうる外れ値が、まだサンプルに含まれていないだけかもしれません。距離を2乗する計算なので、その外れ値が来たときには、数字は一気に跳ね上がります。

ShowMyTradesで確認できる場所

表示名はそのまま標準偏差で、口座ページの詳細統計モジュールのパフォーマンス指標列にあります。口座通貨で表示され、ツールチップも付いています。この数字を分母とするシャープレシオのすぐ上、プロフィットファクターの下にあり、保存された決済済み取引をもとにShowMyTradesのサーバーで計算しています。このモジュールは公開口座ページに初期設定で表示されますが、所有者は非表示にできます。埋め込み用のウィジェットには含まれません。

同じモジュールの取引列と見比べてください。平均利益、平均損失、最大勝ちトレード(損益)、最大負けトレード(損益)、総取引数が、この数字を読む手がかりになります。モジュールの保有時間ビューでは、ばらつきが目に見えます。決済済み取引1件が1つの点になり、横軸が保有時間(時間)、縦軸が損益なので、ばらつきが数字ではなく形として現れます。カスタム分析は、期間、銘柄、マジックナンバー、取引種別、ロット数などで絞り込んだ取引だけで、ブロック全体を計算し直します。ばらつきが戦略そのものから来ているのか、1つの銘柄から来ているのかがわかります。

よくある誤解

  • 「パーセンテージである」:ShowMyTradesの標準偏差は、1回の取引あたりの金額です。規模の違う口座どうしで比べても、残高と並べなければ意味がありません。
  • 「相場のボラティリティを測っている」:測っているのは、自分の結果のボラティリティです。穏やかな相場でも、ロットをどんどん増やしていけば数字は大きくなります。
  • 「標準偏差が低ければリスクも低い」:計算に入るのは決済済み取引だけです。負けポジションを持ち続けるシステムは、決済した結果だけがそろって小さく見えますが、本当のリスクは含み損のポジションに潜んでいます。
  • 「30件で低い数字なら安心」:数百件に届かないうちは、暫定的な数字として扱ってください。

統計が意味を持つまでに何件の取引が必要かは、ガイド「運用実績にはどれだけの履歴が必要か」をご覧ください。

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