トレードのZスコアとは?連勝・連敗は偶然か
トレードにおけるZスコアは、勝ちと負けが続けてやって来るのか、交互にやって来るのかを測る指標です。実際の並びに含まれるランの数を数え、同じ数の勝ちと負けを偶然に並べた場合に出てくる数と比べます。口座が儲かったかどうかについては何も語りません。わかるのは、あるトレードの結果が次のトレードについての情報を含んでいたかどうかだけです。
仕組み
ランとは、同じ符号の結果が途切れずに続くかたまりのことです。W W L W L Lという並びには、ランが4つあります。統計量は、ワルド=ウォルフォウィッツのラン検定です。
期待ラン数 R = 2WL / N + 1
分散 σ² = 2WL(2WL − N) / ( N² (N − 1) )
Z = (ラン数 − R) / σ
W = 勝ちトレード数、L = 負けトレード数、N = W + L
トレードは決済時刻の順に並べ、勝ちかどうかは手数料とスワップを反映した純損益で判定します。コスト前はプラスでも、コストを引いてマイナスになったポジションは、ここでは負けとして扱われ、勝ちのランを途切れさせます。
読み方は符号で決まります。
- Zがマイナス:偶然よりランが少ない。結果がかたまって出ています。勝ちのあとに勝ち、負けのあとに負けが続きます。
- Zがプラス:偶然よりランが多い。コイン投げよりも頻繁に結果が入れ替わります。
- 0に近い:トレード同士が互いに独立している場合と区別がつきません。
口座ページでは、スコアのあとに括弧付きでパーセントが表示されます。同じスコアを0〜100の尺度に押し込めたもので、50%はコイン投げとまったく同じランダムさを意味します。50%未満なら偶然より連続しやすく、50%を超えれば偶然より入れ替わりやすいということです。Zが−2.41なら8.24%、+1.00なら73.11%と表示されます。読みやすく言い換えただけでp値ではないので、8.24%は有意水準ではありません。
なぜ重要か
戦略の統計は、ほとんどの場合、トレード同士が独立していることを前提にしています。Zスコアがそうではないと示したとき、ページ上のほかの数字は、見た目どおりの意味をひっそりと失います。負けがかたまって出ると、同じ勝率から想像されるよりも深いドローダウンが生まれます。ドローダウンは負けの数だけでなく、負けがどう並んだかで決まるからです。
大きくマイナスのスコアには、よく知られた原因があります。グリッド、ナンピン、バスケット型のシステムは、1つの考えにもとづいて多数のポジションを建て、まとめて決済します。そのため、1回の判断から同じ符号の結果が長いかたまりとなって出てきます。負けているポジションに積み増していく手法はどれも同じで、こうした口座では、有効証拠金ベースと残高ベースのドローダウンのあいだに大きな開きが見られることがよくあります。
大きくプラスのスコアは、たいてい、その口座が1つの系列として動いていないことを意味します。両建てのペアは勝ちと負けを同時に計上しますし、無関係な2つの戦略が1つのログインIDで交互に動いていれば、どちらのものでもない人工的な入れ替わりが生まれます。トレードにマジックナンバーが付いているなら、マジックナンバーごとに分けて読むのが、正直なスコアを得る唯一の方法です。
実際の使い道は限られていますが、確かにあります。マイナスのスコアは連敗に関するルールを設ける統計的な根拠になり、0に近いスコアはそうしたルールが要らないという根拠になります。
実データから見えること
以下の数字はShowMyTradesで公開されている口座のもので、トレーダー全般を表すものではありません。公開口座の中央値は、決済済み取引が171件、勝率が68.8%です。勝ち約118回に対して負け約53回という計算です。この組み合わせから偶然に期待されるラン数は約74、標準偏差は約5.6ランです。
つまり中央値の口座では、ラン数が約63まで減るか、85を超えるまで増えないと、スコアは±2に届きません。その範囲に収まっているかぎり、コイン投げと区別がつかないということです。この数字をどこまで重く見てよいかは、履歴の長さで決まります。履歴が増えるほど判定の精度は上がり、同じパターンでも、1,700件なら発見、171件ではヒントにすぎません。もう1つ見逃せないのは自動売買の割合です。これらの口座のうち、自動売買が90%を超える口座が53.9%、10%未満の口座が42.2%です。結果がかたまって出るのは、前者のほうがはるかに多い傾向にあります。ロボットがバスケットを決済すると、同じ結果がいくつも一度に並びに書き込まれるからです。
ShowMyTradesで確認できる場所
この指標は、公開されているすべての口座ページの詳細統計モジュールに「Zスコア(確率)」として表示されます。スコアは小数点以下2桁で、その横に換算したパーセントが並びます。場所はパフォーマンス指標の列で、プロフィットファクター、標準偏差、シャープレシオ、期待値、AHPRとGHPRと同じ並びにあります。値はブラウザではなく、口座の同期時にShowMyTradesの統計サービスが計算します。
同じページのSmart Insights(自動分析)パネルにも、この指標をもとにした1行が表示されます。決済済み取引が30件以上ある口座でスコアが±2の範囲内に収まっていれば、取引パターンに一貫性があると示されます。
よくある誤解
- 「Zスコアがマイナスなのは悪いこと」:質を測る指標ではありません。トレード同士の依存関係を表すだけで、収益性については何も語りません。マイナスになる優れたトレンド系のシステムはいくらでもあります。
- 「次のトレードを予測できる」:すでに起きた並びを要約しているだけです。ラン検定には、先を見通す要素は何もありません。
- 「パーセントは、そのシステムが機能する確率」:同じスコアを別の尺度で表しただけで、それ以上の意味はありません。50%はランダムの中間点であって、合格ラインではありません。
- 「並び順は関係ない」:並び順こそがすべてです。同じ秒に決済されたトレードには意味のある順番がないため、バスケットをまとめて決済するシステムでは、戦略とは関係のない理由でラン数が変わってしまうことがあります。
このような統計が意味を持つまでに何件のトレードが必要かについては、運用実績に必要な履歴の長さをご覧ください。
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