指標·用語集

リカバリーファクターとは?計算式・目安・実データ

リカバリーファクターは純利益を最大ドローダウンで割った値で、下落1単位あたりに得たリターンを表します。計算式と目安、元になる数字の見つけ方を紹介します。

リカバリーファクターは、純利益を最大ドローダウンで割った値です。口座の持ち主に味わわせた下落1単位につき、どれだけのリターンを生んだかを示します。2.0なら、最悪の時点で失った額の2倍を稼いだことになります。1.0未満なら、自分で掘った穴の大きさをまだ取り戻せていません。

仕組み

リカバリーファクター = 純利益 / 最大ドローダウン

式そのものは単純ですが、単位はそうはいきません。2つの形が出回っていて、両者の結果は一致しません。

金額ベース       = 純利益 ($) / 最大ドローダウン ($)
パーセントベース = 総リターン (%) / 最大ドローダウン (%)

分子と分母は、同じ尺度で測らなければなりません。分子が金額、分母がパーセントという混ぜ方をすると、比率のように見えて何の意味もない数字ができあがります。

リカバリーファクター読み方
1.0未満最悪の下落分をまだ稼ぎ出せていない
1.0〜2.0機能しているが、得たリターンが負ったリスクとほぼ同じ程度
2.0〜3.0堅実。ただし、本当の最大値が出尽くすほど履歴が長ければ
3.0超強い。信じる前に取引数と口座の運用期間を確認

この表のどの行よりも優先すべき注意点が1つあります。リカバリーファクターは、時間がたつだけで自然に上がっていくのです。分子は口座が稼ぎ続けるかぎり積み上がりますが、分母は過去の最大値で、状況が悪化したときにしか動きません。5年の口座と6か月の口座は、この指標では比べられません。古い口座は、固定された数で割る期間が長かっただけなのです。

なぜ重要か

利益とドローダウンはたいてい別々に示されます。別々なら、どちらもよく見せるのは簡単です。リカバリーファクターは、この2つを切り離させません。あらゆる運用実績が答えなければならない問い、「その痛みに見合う成果だったのか」を、ひとことで表した指標です。

近い指標が取りこぼす部分を埋める役割もあります。プロフィットファクターは総利益と総損失を比べるだけで、損益の順番を見ません。そのため、1か月ですべてを稼いだ口座も、毎週こつこつ増やした口座も同じように評価されます。シャープレシオはばらつきを測りますが、落ち込みの深さは測りません。よく使われる指標のなかで、最悪の瞬間がはっきりと分母に入っているのはリカバリーファクターだけです。

実データから見えること

以下の数字はShowMyTradesで公開されている口座のもので、トレーダー全般を表すものではありません。取引履歴のある公開口座(2026年8月時点)では、時間加重収益率の中央値が+3.2%、最大ドローダウンの中央値が9.7%です。

この2つの中央値はそれぞれ別の口座から出たものなので、比率そのものの中央値にはなりません。ただ、両方の中央値にちょうど当てはまる口座があれば、パーセントベースのリカバリーファクターは約0.33になります。リターン1単位を得るために、下落を3単位ほど耐えた計算です。3.0未満はとりたてて評価に値しない、という通説と並べて覚えておきたい数字です。

分布の端にも目を向ける必要があります。38.2%の口座は20%を超える落ち込みを経験しており、長期的にプラスなのは63.0%の口座です。つまり3分の1を超える口座で、分子がマイナスになっています。そうした口座では、比率が低いのではなく、そもそも意味がありません。損失をドローダウンで割っても、どの目安にも当てはまらない数字が出てくるだけです。

ShowMyTradesで確認できる場所

ShowMyTradesにリカバリーファクターという指標はありません。パネルにもチャートにもウィジェットにも、この名前でも別の名前でも表示されず、統計エンジンも計算していません。ただし、口座ページで公開されている数字を使えば、1回の割り算で求められます。どの数字もプラットフォームのデータから算出したもので、口座の持ち主が手入力したものではありません。

パーセントベースで求めるなら、口座統計パネルの収益率を、同じパネルの4行下にあるドローダウンで割ります。どちらもパーセントなので、この割り算は成り立ちます。それぞれが何を表すかにも注意してください。収益率は時間加重収益率で、入出金の影響を取り除いているため、負けている口座に資金を足して数字をふくらませることはできません。ドローダウンは、記録された有効証拠金の最大の下落です。

金額ベースの場合、同じパネルの損益が、手数料とスワップを差し引いた決済済みの純損益を示します。ただし最大ドローダウンは金額では公開していないため、割る相手になる2つ目の数字がありません。パーセントベースを使うか、決済済み取引の一覧からエクイティの推移を組み立て直してください。一覧は取引テーブルからCSVでダウンロードできます。

どちらの方法でも、まずはパネルの横にあるドローダウンのチャート表示を開いてみてください。ドローダウンを日ごとの棒グラフで示していて、最大値がいつ記録されたのか、口座がピークを下回ったままどれだけの期間を過ごしたのかがわかります。この期間の長さは、リカバリーファクターでは表せません。

よくある誤解

  • 「高ければ高いほど良い」:履歴の長さが違う口座どうしでは、そうとは言えません。リスクが同じでも比率は期間とともに上がっていくため、比べてよいのは運用実績の長さが近い口座どうしだけです。
  • 「プロフィットファクターと同じもの」:プロフィットファクターは総利益を総損失で割ります。リカバリーファクターは最終的な結果を、ピークからボトムまでの最悪の下落1回で割ります。
  • 「回復の速さがわかる」:わかるのは大きさで、時間ではありません。深さよりも期間の長さのほうが多くのトレーダーを脱落させる理由は、ドローダウンをご覧ください。
  • 「分母には残高ベースのDDを使ったほうがすっきりする」:それは数字をよく見せてしまう分母です。負けポジションを決済しない戦略では、残高ベースのドローダウンは構造上小さいままです。有効証拠金ベースの数字を優先し、どちらを使ったかを明記してください。

分母がどのように測られるのか、そして最大値がなぜ下がることがないのかについては、最大ドローダウンのガイドをご覧ください。

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