トレードにおける運用実績(トラックレコード)とは
運用実績(トラックレコード)とは、取引口座の履歴を記録として残したものです。決済済みの取引すべてと、それらの取引がたどった有効証拠金の推移、そしてその間の空白の期間が含まれます。記録しているのは過去に起きたことで、これから起きることを約束するものではありません。この項目では、記録に何が含まれるべきか、意味を持つまでにどれだけの期間が必要かを扱います。そもそもデータを信頼できるかどうかについては、認証済みの運用実績で説明しています。
仕組み
証拠になる記録は、集計値ではなく取引単位で残されています。最低限必要なのは次の項目です。
- すべての決済済み取引:新規と決済の日時、銘柄、売買方向、数量、新規価格と決済価格、損益。
- 各取引のコスト:手数料とスワップは総利益と分けて記録します。差し引きした集計値では、お金がどこへ消えたのかが見えなくなるからです。
- 有効証拠金の推移:結果がどの順番で出たのかがわかります。プロフィットファクターは損失が最初に来ても最後に来ても同じ値ですが、カーブはそうはいきません。
- 空白期間:取引のない月も情報です。入金と出金も同じで、パーセンテージの意味を変えてしまいます。
- 表示できないコストの存在:スプレッドはすべての約定価格の中に含まれていて、どの項目にも現れません。そのことを前提として認めておく必要があります。
期間の長さは、互いに独立した2つの時計で測ります。一方をもう一方に換算することはできません。
取引件数 -> 優位性を裏づける証拠がどれだけあるか
暦の期間 -> その優位性がどれだけの相場環境を経てきたか
高頻度のシステムなら1か月で500件の取引をこなせますが、それでも見てきたのは1つの相場の1か月だけです。スイングトレーダーが500件に届くころには、何年分もの相場をくぐり抜けています。両方の時計を確認し、短いほうを基準にしてください。
なぜ重要か
運用実績は、戦略が儲かることを証明するよりずっと早い段階で、戦略が損をすることを証明できます。利益はゆっくりとしか積み上がらず、運だけでも簡単に生まれます。一方で、破綻は一度にやってきます。
だからこそ最大ドローダウンは、時間がたつほど見え方が悪くなる数字です。この値は大きくなることしかありません。4%と表示された記録は、リスクの低い戦略の記録ではありません。最悪の日がまだ来ていない戦略の記録です。月が1つ増えるたびに、この数字は大きくなるか、そのまま変わらないかのどちらかです。
実データから見えること
ShowMyTradesで公開されている取引履歴のある口座(連携口座1万以上、同期済みの取引15,436,464件から抽出)では、決済済み取引数の中央値が171件、1取引あたりの保有時間の中央値が2.4時間です。これはここで公開されている口座の数字で、トレーダー全般を表すものではありません。
この2つは合わせて読む必要があります。1ポジションあたり2.4時間なら、171件の取引は何年分の履歴にもなりません。活発に動くシステムなら、暦の上ではほんの数週間ということもあります。公開記録の中央値は、どちらの時計で見ても薄いのです。そしてそれは珍しいことではなく、運用実績としてはごく普通の状態です。
暦ではなく取引の件数を数え、短いほうの時計を基準にする。
その影響はリスクの数字に表れます。最大ドローダウンの中央値は9.7%です。それでも38.2%の口座がピークを20%以上下回ったことがあり、17.6%の口座は50%以上下回ったことがあります。時間加重収益率の中央値は、+3.2%です。63.0%の口座がプラスです。こうした分布の裾を生み出しているのは長い記録のほうで、短い記録にはまだそれが起きる機会がなかっただけです。
並べて読む価値のある組み合わせが1つあります。勝率の中央値68.8%と、プロフィットファクターの中央値1.28です。公開口座の多くは大半の取引で勝っていながら、手元にはほとんど何も残っていません。これは記録だからこそ測れることで、見出しの数字では決してわかりません。
ShowMyTradesで確認できる場所
口座ページそのものが運用実績です。取引件数の時計は詳細統計モジュールの総取引数で、隣に平均保有時間が並んでいます。この2つを掛け合わせると、口座が実際にポジションを持っていた時間がわかります。暦の時計は月次リターンの表で読み取ります。記録が月ごとに表示され、取引のなかった月は空欄のまま残るので、休止していた期間が平均にならされて消えることはありません。カレンダー表示に切り替えると、1か月を日ごとに確認できます。
口座統計の横にある情報アイコンには、作成日と公開ページの閲覧数が表示されます。作成日は口座をShowMyTradesに連携した日で、取引を始めた日ではありません。ブローカーから取り込んだ履歴は何年も前から始まっていることがよくあるため、期間はこの日付ではなく月次の表から読み取ってください。
取引ごとの詳細は取引履歴と残高推移のテーブルにあり、1ポジションが1行です。純損益は常に表示され、総損益、スワップ、手数料は表示項目メニューから別々の列として追加できます。チャート表示は収益率、残高、損益、取引ごとの収益率、ドローダウンを切り替えられます。取引ごとの収益率は、同じデータを暦の時計ではなく取引件数の時計で見たものです。所有者は、個々のモジュールを公開ページで非表示にできます。
よくある誤解
- 「2年間動いているから長い記録だ」:2年間で9件の取引なら、サンプルは9つです。開始日より先に取引件数を確認してください。
- 「運用実績は戦略が機能することの証明だ」:運用実績は結果を記録したものです。その結果が優位性によるものか運によるものかはサンプル数の問題で、ほとんどの記録はそれに答えるには短すぎます。
- 「公開されているなら認証されている」:この2つは別の性質です。記録は完全で詳細でありながら、まるごと捏造されたものでもありえます。データの出どころを示すのは、認証バッジの役割です。
- 「ドローダウンの数字は確定している」:これは途中経過の最大値です。下がることはなく、運用期間の短い口座では、主に「まだ起きていないこと」を表しています。
サンプル数の計算と、最低限あてはめたい基準については、運用実績が意味を持つまでに必要な期間をご覧ください。
関連用語
プロフィットファクター (Profit Factor)
プロフィットファクターは総利益を総損失で割った値です。1.0を下回る口座は、計算の仕組み上かならず損をしています。目安となる区分と、数千口座の中央値1.28を紹介します。
認証済みの運用実績 (Verified Track Record)
認証済みの運用実績とは、読み取り専用の連携でブローカーから直接、途切れなく取得した成績データのこと。公開する本人が編集できる部分はどこにもありません。
コスト率 (Cost Percentage)
コスト率は、コスト控除前の取引成績のうち、手数料とスワップが占める割合です。計算式、スプレッドが含まれない理由、実際の口座が払っている額を解説します。
最大ドローダウン (Maximum Drawdown)
最大ドローダウンは、口座がこれまでに記録した、ピークからボトムまでの最も深い下落です。計算式、回復の早見表、数千の口座で見た実際のばらつきを紹介します。