指標·用語集

時間加重収益率(TWR)とは?

時間加重収益率は、期間ごとのリターンを複利でつなぎ、入出金の影響を取り除いた指標です。計算式、絶対収益率との違い、公開口座のデータを紹介します。

時間加重収益率(TWR)は、入金と出金の影響を取り除き、売買判断だけが生んだリターンを測る指標です。資金の出し入れがあるたびに口座の履歴を区切り、区間ごとにリターンを測って、それらを複利でつなぎます。ShowMyTradesの口座ページで収益率として表示されているのが、この数字です。

仕組み

お金の出し入れは、誰も取引しなくても残高を変えます。TWRは、資金の出し入れをリターンの計算に一切入れないことで、これに対処します。

TWR = [(1 + r₁) × (1 + r₂) × … × (1 + rₙ)] − 1

rᵢ = 期間 i の損益 / 期間 i の開始時の残高

各期間は、資金の出し入れから次の出し入れまでです。入金があるとその期間が終わり、増えた新しい残高から次の期間が始まります。入金が分子に入ることはありません。ShowMyTradesでは区間を1日単位にしています。各日のリターンは、その日の始まりの残高に対して、その日にかかったコストを差し引いて測り、日々のリターンを複利でつなぎます。

具体的に見てみます。$10,000を入金して$2,000の利益を出すと、最初の期間のリターンは20%です。さらに$10,000を入金して残高を$22,000にし、また$2,000の利益を出すと、2つ目の期間のリターンは9.1%です。元手が大きくなったからです。残高で見ると、入れた$20,000に対して+$4,000です。TWRで計算すると(1 + 0.20) × (1 + 0.091) − 1 = +30.9%。入金そのものは、何も稼いでいません。

お金が入った日、残高は跳ね上がります。収益率は動きません。

これが、同じパネルにあるもう1つのパーセンテージ、絶対収益率との違いです。

絶対収益率 = 決済済みの純損益 / 入金総額 × 100

絶対収益率は「入れたお金に対して口座がどれだけのリターンを生んだか」に、TWRは「そのお金をどれだけうまく運用したか」に答えます。どちらも正直な数字ですが、規模や入金のパターンが違う口座同士を比べられるのは、片方だけです。

なぜ重要か

運用実績をそもそも比較できるのは、TWRがあるからです。TWRがなければ、ドローダウン中に入金するだけで割合を良く見せられます。$10,000の口座で$5,000を失えば−50%ですが、翌日に$10,000を追加すれば、まだ埋まっていない同じ穴が、新しい残高の−33%にしか見えなくなります。

TWRは逆方向にも働きます。だからこそ、見栄えのいい数字ではなく公正な数字なのです。出金してもTWRは上がらず、好調な月の直前にタイミングよく入金しても上がりません。残るのは売買判断のエクイティカーブだけです。認証済みの運用実績を読む人がトレーダーの責任として問えるのは、その部分しかありません。

実データから見えること

以下の数字はShowMyTradesで公開されている口座のもので、トレーダー全体のものではありません。取引履歴のある公開口座(2026年8月時点)では、時間加重収益率の中央値は+3.2%、63.0%の口座が時間加重ベースでプラスです。

ここから2つのことが読み取れます。1つ目に、この基準で見ると、公開口座の過半数は実際に利益を出しています。ネットで言われるような焼け野原ではありません。2つ目に、分布の真ん中にあるのは小さな数字です。+3.2%に対して、最大ドローダウンの中央値は9.7%。典型的な口座は最終的なリターンのおよそ3倍を途中で失ったことになります。同じ口座群では、38.2%の口座がどこかの時点で20%を超えて高値を下回ったことがあり、17.6%の口座は50%を超えて下回ったことがあります。

この口座群の中央値は決済済み取引171件で、全体では同期済みの取引15,436,464件から集計しています。履歴の短い口座の大きなTWRが語っているのは、手法のことではなく、数週間のことです。

ShowMyTradesで確認できる場所

公開されているすべての口座ページで、口座統計パネルの最初の行、いちばん太く目立つ行が収益率で、これがTWRです。そのすぐ下に絶対収益率があり、入金の影響を受ける数字が、入金の影響を受けない数字のすぐそばに置かれています。続く2行の平均日次リターンと平均月次リターンも、同じ時間加重の系列から算出しています。

チャート表示(複数のチャートを並べるのではなく、表示を切り替える1枚のパネル)では、これを2通りに描きます。収益率表示は、口座の全期間にわたって日次で複利計算したTWRです。取引ごとの収益率表示は、同じ系列を暦ではなく取引の番号に沿って描くので、取引頻度が見えてきます。+40%の2つの口座は暦の上では同じに見えても、一方が90件、もう一方が9,000件取引していれば、まったく違って見えます。残高表示は、入出金を含む生の金額を示します。TWRが補正するために作られたのは、まさにこの図です。月次リターン表は、同じ時間加重の系列を月別・年別に分けて示します。

よくある誤解

  • 「TWRは稼いだ金額のこと」:通貨建ての数字ではありません。口座の期間の大半を小さなサイズで取引していれば、TWRが+80%でも利益はわずかということがありえます。
  • 「入金したら収益率が下がった」:下がることはありません。入金は1つの測定期間を終わらせて次の期間を始めるだけで、どちらの方向にもリターンを生みません。多くの人が実際に気づいているのは、入金しても残高チャートのようには割合が上がらなかったことのほうです。
  • 「TWRと絶対収益率は一致するはず」:一致するのは、入金が1回だけで出金のない口座だけです。食い違いは誤りではなく、資金の出し入れについての情報です。
  • 「年率の数字だ」:口座の最初の取引からの累積で、年率換算はしていません。3年間での+3.2%と3か月間での+3.2%は、まったく別の結果です。

入金がドローダウンを隠す仕組みを含めた計算例は、時間加重収益率の解説を参照してください。

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