トレードにおけるファンデッドアカウントとは?
ファンデッドアカウントとは、資金がトレーダー本人ではなく会社(個人向けの市場ではプロップファーム)に属する取引口座です。明文化されたリスクルールと利益配分の取り決めのもとで運用されます。トレーダーが持つのは運用を任される権限であって、資金の所有権ではありません。資金を引き出す権利はなく、上限を超える裁量もなく、上限を一度でも破れば口座はなくなります。ほかのことはすべて、ここから導かれます。
仕組み
通常は、同じルールが適用される2つのフェーズがあります。評価フェーズは、決められたサイズのシミュレーション口座で挑む有料のチャレンジで、利益目標に達するか、リスク上限に違反するか、期間が終わった時点で終了します。合格するとファンデッドフェーズが始まります。ルールが緩むことはなく、たいていは同じか、より厳しくなります。違うのは、確定した利益が配分されるようになることです。配分はトレーダー側に有利なことが多く、決められたサイクルで支払われます。
結果を決めるルールは大きく2種類あり、それぞれ失格のしかたが異なります。
損失の上限 日次の下限、セッションごとにリセット
全体の下限、固定型またはトレーリング型、リセットなし
一貫性ルール 1日の最大利益 / 総利益 <= 上限
損失の上限は、超えたらそこで終わりの絶対的なラインです。トレーリング型の全体下限は、有効証拠金が高値を更新するたびに引き上げられます(上がる一方で、下がることはありません)。そのため、好調な週のあとは前の週よりも余裕が少なくなり、利益が出ている状態でも口座が打ち切られることがあります。日次の下限は2つのうち厳しいほうで、セッションごとに判定されます。これについては日次ドローダウン制限の項目で詳しく扱っています。
一貫性ルールは話題にのぼることが少ないわりに、多くの人が思う以上にトレーダーをふるい落としています。総利益のうち、1日または1回のトレードから得られる割合に上限を設けるルールで、極端に大きな1回のポジションは再現できない、という考え方にもとづいています。利益目標を達成し、損失の上限にも一度も触れていないのに、利益の60%がある日の午後だけで生まれたという理由で不合格になるチャレンジ参加者もいます。
このほかにも細かい条件があります。最低取引日数、予定された指標発表をまたぐ保有や週末の持ち越しに関するルール、出金が続いたあとに運用額を引き上げるスケーリングプランなどです。いずれも契約条件であり、内容は会社によって異なります。
なぜ重要か
ファンデッドアカウントでは、リスク管理が好みの問題ではなく、合否を分ける試験になります。自己資金の口座なら、15%のドローダウンは不快でも取り戻せます。下限が10%のファンデッドアカウントで同じ値動きをたどれば、そこで終わりです。回復を待つ前に、回復させるべき口座そのものがなくなっているからです。
だからこそ、会社が重視する数字は、成績ページの冒頭に大きく載る数字とはたいてい違います。見出しになるのはリターンですが、運用を任され続けられるかどうかを決めるのは、下落の深さと、日ごとの下がり方です。
実データから見えること
ShowMyTradesで取引履歴のある公開口座のうち、38.2%の口座が、どこかの時点でピークから20%以上下落しています。個人向けのほぼどのルールよりも緩い20%を基準にしても、10口座に4口座近くはすでに不合格になっていた計算です。しかもこれらの口座は、ポジションを強制的に閉じるものが何もない、ルールなしの状態で取引していました。なお、この数字は当サイトで公開されている口座のものであり、トレーダー全体を表すものではありません。
そのリスクと引き換えに得られたリターンは、時間加重収益率の中央値で+3.2%、プラスで終わっているのは63.0%の口座です。チャレンジ参加者の多くが最初にぶつかるのは、リターンではなく制約のほうです。
当サイトでは37口座が限定公開になっています。専用のリンクで公開しつつ、あらゆる一覧からは外す設定です。チャレンジ参加者が、サイト上に載せずに会社へ記録を送りたいときに使います。
ShowMyTradesで確認できる場所
特定のプログラムとの連携はありません。そのかわり、ルールを見張るためのツール、Prop Shield(プロップファームのルール監視)があります。口座の設定で「Prop Shieldを有効にする」をオンにして会社が定めた上限を入力すると、それぞれの上限をどれだけ使ったかが口座ページに表示され、日次損失・最大ドローダウン・利益目標についてアラートが届きます。警告はしますが、何かをブロックすることはありません。それ以外の部分で口座ページが提供するのは、数字の測定です。
口座統計パネルには、有効証拠金で計算するドローダウン(保有ポジションの含み損も含みます)と、決済済み取引だけで計算する残高ベースのDDが並んでいます。この2つの組み合わせが、ここでは何より重要です。ルールはたいてい有効証拠金で測るため、負けポジションを持ち続ける手法は、残高ベースのドローダウンでは良く見えても、有効証拠金ベースのドローダウンで不合格になります。同じパネルには平均日次リターンと平均月次リターンもあります。一貫性ルールが、突出した1日と比べる基準になる数字です。
チャート表示のドローダウンビューは、有効証拠金がその時点までの最高残高をどれだけ下回っていたかを、日ごとにプロットします。全体の下限やトレーリング型の下限が見ているのは、まさにこの形です。一貫性の問題については、月次リターンの表で利益が分散しているのか集中しているのかがわかり、そのカレンダー表示では1日単位まで確認できます。
公開設定は口座ごとに選べます。公開、非公開、そして直接リンクからのみアクセスでき、一覧には載らない限定公開の3つです。所有者は個々のモジュールを非表示にすることもできます。そのため、ページにあるはずのセクションがなくても、それはデータがないのではなく、所有者がそう選んだということです。
よくある誤解
- 「ファンデッドになれば資金は自分のもの」:資金は最初から最後まで会社のものです。自分のものになるのは、確定利益のうち実際に支払われた取り分だけです。
- 「ファンデッドフェーズは評価フェーズより楽」:上限はたいてい同じか、より厳しくなります。変わるのは、失敗したときに失うものが受験料ではなく収入源になるという点です。
- 「日次の上限さえ避ければいい」:口座が打ち切られる原因の多くは全体の下限です。しかもトレーリング型なら、勝つほど厳しくなります。
- 「大きく勝った日は前進だ」:一貫性ルールのもとでは、それが出金を拒否される理由になることがあります。
口座の全履歴を通じてこうした上限がどう働くかは、最大ドローダウン徹底解説をご覧ください。
関連用語
プロップファーム (Prop Firm)
プロップファームは、ルールを定めたうえで、自社の資金をトレーダーに託してリスクを取る会社です。評価、利益配分、損失上限の仕組みと、実際のドローダウンが示すことを解説します。
限定公開の口座 (Unlisted Account)
限定公開は、公開・非公開に続く3つ目の公開設定です。リンクを知っていれば誰でも口座ページを開けますが、「探す」のフィード、検索、自分の公開プロフィールには表示されません。
ドローダウン (Drawdown)
ドローダウンは、口座の価値がピークからボトムまでどれだけ下がったかを示す割合です。計算式、損失が積み重なっていく理由、数千の実際の取引口座のデータを紹介します。
残高ベースのドローダウン (DD on Balance)
残高ベースのDD(DD on Balance)は、決済済みの結果だけで測った、ピークからボトムまでの最大の下落幅です。有効証拠金ベースのドローダウンとの比べ方と、公開口座のデータを解説します。