破産確率とは?計算式とリスク別早見表
破産確率とは、優位性が実を結ぶ前に、口座が資金のうちあらかじめ決めた割合を失ってしまう確率です。リターンの予測ではなく、生き残れるかどうかの確率で、勝率、ペイオフレシオ、1取引あたりのリスクから計算します。本物のプラスの優位性があるシステムでも破産確率が高いことはあり、それを左右するのは、ほとんどの場合ポジションサイズです。
仕組み
古典的な計算式は、ペイオフ1:1で資金の一定割合を賭け続けることを前提とし、資金がゼロになることを破産と定義します。
RoR = (q / p) ^ N
p = 1回の取引で勝つ確率
q = 1 − p
N = 資金 ÷ 1取引あたりのリスク (使えるリスクの単位数)
重要なのは指数です。1取引あたりのリスクを半分にするとNは2倍になり、指数が2倍になると確率は2乗になります。勝率52%、ペイオフ1:1のシステムで、表の下に行くほど変わるのはロット数だけ、という例で見てみます。
| 1取引あたりのリスク | リスクの単位数 | 破産確率 |
|---|---|---|
| 1% | 100 | 0.03% |
| 2% | 50 | 1.8% |
| 4% | 25 | 13.5% |
| 5% | 20 | 20.2% |
| 10% | 10 | 44.9% |
1%から2%に上げるだけで、破産確率は50倍を超えます。1%から10%にすれば、誤差程度だった確率が、コイン投げと変わらない水準になります。優位性は少しも変わっていません。
実際のシステムはペイオフが1:1ではなく、取引同士も独立していないため、この公式は答えではなく、考え方を学ぶための道具です。実務での推定では、何千通りもの取引の並びをシミュレーションし、損失水準に達したパスの数を数えます。破産確率計算ツールもこの方法で計算しています。あわせて表示されるドローダウンのリスクは、ゼロにはならずに一定の下落に達する確率で、多くのトレーダーが本当に必要としているのはこちらの数字です。
なぜ重要か
破産確率は、期待値と生き残りをつなぐものです。期待値は平均的な取引にどれだけの価値があるかを示し、破産確率は、その平均が実現するまで取引を続けていられるかを示します。
同じシグナルで取引する2人のトレーダーが正反対の結果になるのも、このためです。エントリーも決済も同じで、ロット数だけが違う。勝率もプロフィットファクターも同じなのに、一方の口座は複利で増え、もう一方は閉鎖されます。戦略の中身では、この違いを説明できません。
実際の使い方は逆算です。受け入れられる確率を先に決め、それを実現するポジションサイズを逆に求めます。
実データから見えること
取引履歴のあるShowMyTradesの公開口座(2026年8月時点)では、17.6%が50%を超える最大ドローダウンを記録しており、38.2%が20%を超えています。ここで公開されている口座の数字であり、トレーダー全体を表すものではありません。
この17.6%は、上の表の実データ版です。口座の半分以上を失うのはおよそ6口座に1口座で、めったに起きない裾の出来事ではありません。最大ドローダウンの中央値は9.7%です。口座は、回復できる範囲にとどまったものと、元に戻すには100%の収益率が必要な水準に達した、少数とはいえ無視できない数の口座とに分かれます。
入力値も同じ方向を指しています。プロフィットファクターの中央値は1.28、勝率の中央値は68.8%です。ここから平均ペイオフレシオはおよそ0.6と推定されます。損失が利益より大きく、勝つ回数の多さで支えられている口座です。こうした形では期待値はわずかで、左側の裾は太くなり、そのどちらもが計算式の指数に効いてきます。
ShowMyTradesで確認できる場所
口座ページに破産確率がリアルタイムで表示されるわけではありませんが、計算に必要な入力はすべて公開されています。
- 詳細統計モジュールの勝率、プロフィットファクター、平均利益、平均損失。平均利益を平均損失で割ったものが計算式に必要なペイオフレシオで、勝率が
pです。 - pipsと通貨で表示される期待値は、シミュレーションが標本を取り出す元になる優位性です。その隣にあるZスコア(確率)は、勝ちと負けが連続して出ていたかどうかを示します。独立性の前提が無視している偏りです。
- 同じモジュールの総取引数と平均保有時間。公開口座の中央値は決済済み取引が171件、平均保有時間が2.4時間です。勝率を出すには足りますが、裾を推定するには心もとない数です。
- 口座統計パネルで平均月次リターンと残高の間にある2行、ドローダウンと残高ベースのDD。確率が言い表そうとしていた結果が、実際の数字として表れています。
- チャート表示のドローダウン表示。損失水準に近づいた局面が、見出しの数字1つではなく、時間に沿った棒グラフとしてすべて表示されます。
よくある誤解
- 「期待値がプラスなら破産しない」:それが成り立つのは、限りなく小さな金額を、限りなく何度も賭けられる場合だけです。1取引あたり10%のリスクを取るなら、プラスの優位性と45%の破産確率は難なく両立します。
- 「勝率が高ければ身を守れる」:勝率は2つの入力のうちの1つにすぎません。勝率68.8%でペイオフレシオが0.6前後なら、計算上は、見出しの数字から受ける印象よりもはるかに損益分岐に近いところにいます。
- 「破産とは残高がゼロになること」:口座が終わる水準なら、どこでも破産です。プロップファームの日次ドローダウン制限、投資家の資金引き揚げ、あるいはシステムを信用できなくなった時点もそうです。
- 「破産確率は戦略が持つ固定の性質」:破産確率は、戦略とサイズの両方で決まる性質です。前者はなかなか変わりませんが、後者は次の注文の前に変えられます。
高い勝率が見た目ほど生き残りの保証にならない理由は、勝率は優位性ではないを参照してください。
関連用語
日次ドローダウン制限 (Daily Drawdown Limit)
日次ドローダウン制限は、1取引日に許される損失の上限を、その日の基準値から測るルールです。残高基準と有効証拠金基準の違い、リセット時刻、実データを解説します。
期待値 (Expectancy)
期待値は1トレードあたりの平均損益で、(勝率 × 平均利益)−(負け率 × 平均損失)で求めます。計算式と計算例、公開口座のデータを紹介します。
最大ドローダウン (Maximum Drawdown)
最大ドローダウンは、口座がこれまでに記録した、ピークからボトムまでの最も深い下落です。計算式、回復の早見表、数千の口座で見た実際のばらつきを紹介します。
ポジションサイジング (Position Sizing)
ポジションサイジングは、ストップまでの距離とpips価値を使って、リスクの割合をロット数に変換する考え方です。計算式、代表的な3つの方法、サイズを誤ったときの代償を解説します。