エクイティカーブとは?形の読み方
エクイティカーブとは、口座の価値の推移を描いたグラフです。きちんとした口座ページでは、線は1本ではなく2本で描かれます。決済済みの取引だけを数える残高と、まだ保有中のポジションの含み損益を加えた有効証拠金です。2本の線の開きこそ、口座がまだ表に出していない損益です。
仕組み
有効証拠金 = 残高 + 保有ポジションの含み損益
何も保有していなければ、2本の線は重なります。ポジションを持っている間は、有効証拠金が動き、残高は動きません。負けポジションを決済しないままにすると、残高の線は平らなまま、有効証拠金の線だけが下がっていきます。決済すると、残高の線が有効証拠金のところまで落ちます。残高のチャートで「突然」に見える損失が、たいてい何週間も前からのものなのはこのためです。
負けポジションを持ち続けているかぎり、残高の線はきれいなままです。
入金と出金は、取引がまったくなくても2本の線を垂直に動かします。生の曲線をそのままリターンとして読めないのはそのためです。その補正をするためにあるのが時間加重収益率です。
曲線の形には、最終地点と同じくらいの情報が詰まっています。
- ギザギザしながら上昇し、押し目がはっきり見える。正常です。どの戦略にも連敗はあり、それがないほうが異常です。
- 残高の線がほぼまっすぐな斜線。褒め言葉ではなく警告です。たいていは、勝ちポジションは決済し、負けポジションは持ち続けている(グリッド、ナンピン、マーチンゲールの動き)ことを意味します。リスクは有効証拠金の線に移っていて、残高だけのチャートには映りません。
- 長い横ばいの合間に垂直の段差。ポジションサイズが変わったか、取引がまれで1回が大きいかのどちらかです。傾きを見る前に、取引件数を確認してください。
- きれいな上昇が突然終わる。一撃で破綻する典型的な形です。小さな勝ちを積み重ねて、口座を終わらせるほど大きな1回の損失の元手を作っていた状態です。
なぜ重要か
期間が見えるのは、曲線の上です。見出しの数字は、最悪のドローダウンが18%だったことは教えてくれます。それが9か月続いたことを教えてくれるのは曲線だけで、人がやめる理由になるのは、まさにその期間のほうです。
運用実績の嘘を見抜く一番の早道でもあります。リターンについてはいくらでも主張されますが、形について語られることはまれで、形のほうがはるかに作りにくいものです。一度も悪い週がない残高の線は、悪い時期に取引していなかったか、悪い取引を決済していないかのどちらかです。
実データから見えること
以下の数字はShowMyTradesで公開されている口座のもので、トレーダー全体のものではありません。取引履歴のある公開口座(2026年8月時点)では、有効証拠金で測った最大ドローダウンの中央値は9.7%です。自らのピークから5%を超えて下がったことが一度もない口座は38.5%、20%を超えて下がったことがある口座は38.2%、50%を超えて下がったことがある口座は17.6%です。
これを、+3.2%という時間加重収益率の中央値と並べると、ありのままの形が浮かび上がります。傾きは緩やかで、へこみは本物で、最大のへこみは最終的な利益の数倍です。中央値の口座がそこに至るまでの決済済み取引は171件です。なめらかに見える曲線はすべて、この前提に照らして読む必要があります。曲線の裏にある取引が少ないほど、なめらかさが意味するものは小さくなります。
有効証拠金と残高の開きも、数字で測れます。どの口座にも、有効証拠金で測るドローダウンと、決済済みの結果だけで測る残高ベースのDDの2つの数字があります。この2つの開きが大きいことは、「まっすぐな斜線」の警告を数字で表したものです。残高の線がきれいに保たれているのは、含み損のポジションを決済せずに持ち続けているからです。
ShowMyTradesで確認できる場所
公開されているすべての口座ページにあるチャート表示は、複数のチャートを縦に並べたものではなく、5つの表示を切り替える1枚のパネルです。収益率、残高、損益、取引ごとの収益率、ドローダウンの5つです。
残高表示こそが、本来の意味でのエクイティカーブです。残高と有効証拠金という名前の2つの系列が凡例つきで描かれるので、含み損益の開きを推測ではなく目で確認できます。入金と出金は線の上に印がつくため、段差が取引ではなく資金の出し入れによるものだとわかります。収益率表示は、同じ口座を、資金の出し入れを除いた複利の時間加重収益率で描き直したものです。ドローダウン表示はハイウォーターマーク(過去最高値)からの日々の距離を棒グラフで描き、下落の長さを読み取れるのはここです。
数値の目安は口座統計パネルにあります。残高、有効証拠金(金額とあわせて残高に対する割合も表示されるので、大きな含み損がひと目でわかります)、そして口座がこれまでに到達したピークである最高残高です。同じパネルの平均月次リターンの下の2行には、ドローダウンと残高ベースのDDが並んでいます。
よくある誤解
- 「エクイティカーブがなめらか=リスクが低い」:むしろ逆のことがよくあります。残高の線がなめらかなのは損失を一度も確定させていない証拠で、リスクは有効証拠金の線と最大ドローダウンに潜んでいます。
- 「エクイティカーブとは残高のチャートのこと」:残高は決済済みの取引だけです。有効証拠金は保有中の取引も含み、その差がちょうど、まだ計上されていない金額です。
- 「曲線が上がったのだから、トレードはうまくいった」:入金を除くまではわかりません。ShowMyTradesのページで収益率を時間加重で計算し、絶対収益率を別に表示しているのはそのためです。
- 「高値を更新したのだから、口座は回復した」:回復したのは残高です。損失のあとにポジションサイズを増やして到達した高値なら、口座は回復したのではありません。賭け金を倍にして、たまたま切り抜けただけです。
曲線の形から作られた成績を見抜く方法は、偽のEA成績の見分け方を参照してください。
関連用語
プロフィットファクター (Profit Factor)
プロフィットファクターは総利益を総損失で割った値です。1.0を下回る口座は、計算の仕組み上かならず損をしています。目安となる区分と、数千口座の中央値1.28を紹介します。
ドローダウン (Drawdown)
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時間加重収益率は、期間ごとのリターンを複利でつなぎ、入出金の影響を取り除いた指標です。計算式、絶対収益率との違い、公開口座のデータを紹介します。